ケールはスーパーフード?科学的根拠と推奨される摂取法

近年日本でも改めて人気上昇中のケール。自分も野菜不足を実感していた独身時代の3年前。身体に良さそうというイメージで自然農法のケール100%の青汁を飲み始め、結婚した今でも継続して週4本飲んでいますが、その栄養の詳細って調べたことがないということで、今回改めてリサーチしてみました。巷でスーパーフードとも呼ばれるケール、その実態やいかに。

そもそもスーパーフードって何だってことなんですが、科学的根拠を元に特定の疾患リスクを低下させたり、病気の治療として用いられるものを機能的食品と呼びますが、スーパーフードは一般的にその機能性が特に優れた食品を指していると思われます。ケールはアメリカでは2010年以降人気の食材だそうで、もともと同じアブラナ科のブロッコリーが栄養的に優れているという認識が高く人気でしたが、ここ数年でケールがその座を奪いつつあるほどだそうです。日本では丸のままのケールをスーパーで見かけることはあまりありませんが、自分が留学していた10年前でもアメリカのスーパーでは大抵置いてありました。

今回、”Kale (Brassica oleracea var. acephala) as a superfood: Review of the scientific evidence behind the statement”※1「スーパーフードたるケール:その科学的根拠の総括」というタイトルの2018年に発表された論文(これまでケールに関して行われてきた研究の総括)が見つかったので、それを元に実際ケールの栄養的メリットに関して考察したいと思います。

論文の結論

数多くの研究からアブラナ科(ケール、ブロッコリー、キャベツ等341属、3977種確認されている)の野菜自体は疑いようのなく健康にとって有益な栄養素を提供してくれることがわかっています。しかしながら論文の結論としては、ケールは一部ビタミンやミネラルは他の野菜と比較しても豊富ですが、栄養を総合的に比較した際スーパーフードと呼べるほど優位性があるかと言われれば、現時点ではそこまでの根拠はないということでした。

これまで行われてきた研究がまだ限定的なこともあり、今後もブームが継続するようであれば更なる研究も行われとまた結果も変わってくるかもしれませんが、そもそもスーパーフードという言葉自体がプロモーションの為に作られた言葉で具体性に掛けるということもあり、センセーショナルな言葉に踊らされてはいけないということも示唆していますね…

論文では昨今のケールブームの要因としては栽培する上で気温の変動や害虫にも強いと言うことで、比較的容易に農薬の使用を抑えた栽培を行うことができるということが関係しているのではないかとの考察でした。

ケールに含まれる栄養と身体への恩恵

そんな結論から始まりましたが、上記の通りケール含むアブラナ科の野菜自体の栄養分はとても優れていると言えます。土壌の状態、収穫の時期(季節)や成長度合いにより各栄養素の含有量は異なるようですが、下記の表がケールとその他アブラナ科の野菜の栄養成分比較になります(左からケール、カラード、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、芽キャベツ)。ケールはビタミンC、ビタミンA、ビタミンKの含有量や、カルシウムの体内への吸収率はとても優れているとのこと。カルシウムといえば牛乳や小魚というイメージが強いと思いますが、ケールはそれらに勝るカルシウム源と言えますし、乳糖不耐性が多い日本人にはオススメかもしれません。

これら多量栄養素と呼ばれるものに対して、野菜に少量含まれる「ファイトケミカル」というものをご存知でしょうか。ビタミンやタンパク質、脂質等とは異なり、生命維持に必須ではないが、様々な薬理効果が期待される植物由来の化合物を指します。ケールに関するメタボローム解析(細胞内の分子の解析)では下記のような効能と関連する「グルコシノレート」「ポリフェノール」「カロテノイド」といった分類のファイトケミカルを確認しました。

「抗酸化作用」…一般的に消費される38種類の野菜を対象に抗酸化作用に関して調査された結果、ケール、ほうれん草、ブロッコリーがとりわけ優れているとの報告※2

「抗がん作用」…Goncalvesの研究でケールに含有されるファイトケミカルによる遺伝子ダメージの減少を確認※3

「心血管系保護」…Manchaliたちの研究によるとアブラナ科の野菜はLDL(悪玉コレステロール)の低下を確認※4

「消化器系の健康維持」…WadeとTalalayの研究では胃癌のリスクを上昇させるピロリ菌の感染予防に関与する可能性を示唆※5

やはりこういったことを知ると、「野菜食べないと!」と改めて再認識させられますね。

摂り方も重要

とはいえ何でもかんでも野菜を食べれば良いという訳でもなく、その摂り方も重要です。栄養豊富な野菜ですが、その栄養素は調理の過程で失われることが少なくありません。ビタミンB群やビタミンCといった水溶性ビタミンは水に溶ける性質があることから、カットしてゆでるとお湯に溶け出てしまいますし、それぞれの野菜特有のファイトケミカルも調理の過程によっては流出したり、変性し機能が失われてしまいます。

“The effect of cooking on the phytochemical content of vegetables”「野菜に含まれるファイトケミカルに調理が及ぼす影響」という2013年に発表された論文※6では、それまでに発表されてきた調理とファイトケミカルに関する100の論文を分析した総括として下記のように結論づけました。

調理によるファイトケミカルへの影響は相反する2つの効果を産む。
⑴加熱での分子変性によるファイトケミカルの濃度の低下。(デメリット)
⑵細かく分解されることによる吸収率の増加。(メリット)

ポリフェノール(カテキン、アントシアニン、タンニン、ルチン、イソフラボンはじめ5,000種に及ぶ)やグルコシノレート(シニグリン、スルフォラファンなど上記の通りアブラナ科の野菜に豊富に含まれ抗がん作用、抗酸化作用を持つ)は茹でたり、炒めたりすると流出しやすく、カロテンに関しては逆に処理の程度が高いほど吸収率が高まるという結果でした。

これらを元に推奨される野菜の調理方法は「蒸す」というのが結論でした。しかし、この論文には「ジュースにする」という調理方法は含まれていません。ジュースだと「加熱がされていない」「細かく刻まれる」という処理から栄養が失われず、かつ吸収率が高いということが言えます。

そういったことから、野菜の栄養を最大効率で摂取するには「蒸す」か「ジュース(スムージー/青汁)」にするのがオススメです。

ただし、ジュースにする上で要注意なのが糖が多く含まれる果物に関しては、栄養の吸収率も高まりますが、糖の吸収率も高まり血糖値が急上昇する恐れもあるため、100%のものであっても果物のジュースの飲み過ぎは厳禁です。

ちなみに1歳7ヶ月の息子は100%ケールの青汁を試しに飲ませて以来、僕が飲んでいるのを見つけて、あげるのを拒否すると泣いて欲しがるようになりました笑

野菜嫌いのお子さんにお困りのお母さま方、ぜひお試しあれ。

最後に

「医学の父」として知られるヒポクラテスの言葉を紹介します。

‘Let food be thy medicine and medicine be thy food’「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」

引用

※1
Kale (Brassica oleracea var. acephala) as a superfood: Review of the scientific evidence behind the statement, Dunja Samec et al, Critical Reviews in Food Science and Nutrition, Apr 2018

※2
Total phenolic contents and antioxidant properties of commonly consumed vegetables grown in Colorado, Kequan Zhou, Liangli Yu, Food Science and Technology, December 2006

※3
Evaluation of the Genotoxic and Antigenotoxic Potential of Brassica Oleracea L. Var. Acephala D.C. In Different Cells of Mice, Alvaro Luiz Martini Goncalves et al, J Ethnoparmacol. Sep 2012

※4
Crucial facts about health benefits of popular cruciferous vegetables, Shivapriya Manchali et al, Journal of Functional Foods, Jan 2012

※5
Urease From Helicobacter Pylori Is Inactivated by Sulforaphane and Other Isothiocyanates, Kristina L Wade, Palul Talalay et al, Biochem Biophys Res Commun. May 2013

※6
The effect of cooking on the phytochemical content of vegetables, Mariantonella Palermo et al, Science of Food and Agriculture, Nov 2013

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