Proprioception(固有受容)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
いきなり聞き慣れない単語を出して恐縮ですが、これは五感等のような感覚の一種です。
五感でしたら、視覚は目、聴覚は耳、嗅覚は鼻、味覚は舌、触覚は肌といった器官がセンサーの役割を果たします。そして固有受容のセンサーは体中の筋肉、腱、靭帯、関節などになります。そしてその役割は身体のパーツ毎の相対的な位置情報を脳に教えてあげることです。
普段生活する中で様々な動作を連続して行っていますが、その度に一々目で動かしたい身体の部位を確認して動かしたりしたりしません。それはProprioception(固有受容)が機能しているためです。
基本的に一般の人でも、それなりに発達しているものですが、この機能、能力というのはトレーニングすることで向上させることができます。一般的に何かスポーツをする際、例えば野球だったらバットを振る、ボールを投げる、テニスだったらラケットを振るなどの動作をする時、まずは自分の中でイメージを造り、それを実際に身体で体現するというプロセスがあります。
その際、イメージ通りに身体を動かせるかどうかということに固有受容が大きく関わってきます。スポーツが出来る人、出来ない人、その違いには色々な要素が絡んできますが、固有受容の発達度合いの差は特に大きいものであると思われます。
固有受容が十分に発達してない状態はあらゆるスポーツ時での怪我にもつながり易くなります。自分の身体を十分にコントロールできていないということなので当然と言えば当然でしょう。
では、固有受容を鍛える為には実際にどのようにトレーニングをしていったら良いのか。
簡単なものを1つ紹介します。
まず、右足立ちでも左足立ちでもいいので、片足立ちでバランスを取ってみて下さい。多くの人が10秒や20秒位は余裕でできると思います。
では、こんどは片足立ちのまま目を閉じて見て下さい。今度はどうでしょう。
10秒や20秒程度でも難しく感じた人が多いのではないでしょうか。
普段私たちはバランスを取る上で、視覚からの情報に頼っています。では、その視覚からの情報をシャットアウトした場合、バランスを取る為の情報源は、固有受容と三半規管(こちらもとても重要な器官なので、今度これメインで別に書きます)になります。なので、目をつむって片足立ちでバランスを取るトレーニングをすることで、それらの機能は高まります。
これは基礎中の基礎になりますが、更にスポーツでのパフォーマンスUpにつなげる為には、そのスポーツ特有の動作を視覚に頼る事無く、自在に調整できるようになることで可能になります。その為には実際に目をつむった状態での自分の動作をビデオで録画し、イメージとの差を随時調整していくなどの地道な努力が必要になります。
ただがむしゃらに量だけをこなす練習は怪我や故障につながります。若い間は怪我の回復も早いですが、そういったダメージは確実に蓄積していきます。練習の量は大事ですが、質の事も考えるのならその様なトレーニングを取り入れてみてはいかがでしょう。