歯を磨かないことによる害と言えば何でしょうか? 虫歯、歯周病、口臭?
いえいえ、それだけじゃありません。最近日本のテレビなんかでも目にしますが、口内環境の悪化は全身の問題に繋がります。
特に問題とされているのが、心臓などの血管系への悪影響です。
口内環境と心臓との関係自体は70年代から結構大きい規模での検証がされてきました※₁。比較的最近のものでは、2010年に行われた11,869人の平均年齢50歳の男女を対象にしたリサーチ※₂によると、歯磨きの頻度が1日1回以下の人の心臓病を発症するリスクは1日2回歯磨きをする人と比べて1.7倍だったそうです。
では実際口内環境が心臓にどのようにして影響を及ぼすのかというと、“chronic inflammation”(慢性炎症)というものが関係していると言われています。歯周病になることによって、歯茎からの血管を通って細菌が全身に周ることにより、それらの細菌に対して起こる免疫反応による炎症が全身の血管や心臓にダメージを与えているのではないかと言われています。そういった状態が慢性化することにより、血管系の疾患を発症するリスクが上がるのではないかと考えられています。この血管内の“chronic inflammation”(慢性炎症)を引き起こすものはこれだけに限らないですが、口内環境を清潔に保つことによる予防はとても大切な事です。
慢性炎症の問題は食の問題とも密接に関係してきます。
- 果糖
- トランス脂肪酸(マーガリンやショートニングなどに含まれる)
- 酸化した油
これらを摂ることによって、身体は炎症を起こしやすい状態になります。逆に魚の油などに含まれるDHAやEPA等のオメガ3というタイプの油や、野菜や果物に含まれる様々なフィトケミカルと呼ばれる物は体の酸化を防ぎ炎症を抑えると言われています。
歯の健康と痴呆
口内環境は血管系の疾患だけでなく、痴呆などの脳の問題とも関わりがあるのではないかと言われています。全身の血管に炎症が広がるということは、脳の血管にも影響する訳なので、身体のどこかに異常をきたせば、他の部位での異常に繋がるというホリスティックの考え方から言えば別に不思議ではないですね。また、それとは別に歯が抜ける事により咀嚼した時の脳への刺激が減ることによる脳機能が低下することも関係しているものと考えられます。
ちなみにそれは背骨の関節にも同じ事が言えます。背骨と一言で言っても仙骨を含めると25個の骨が繋がってできたもので、それぞれの骨を繋ぐ関節からの刺激は脳の機能を高めます。カイロプラクターとしては、ぜひそちらも気にして頂ければと思います。
参考:thebmj