1985年、アメリカ、アイオワ州でカイロプラクティックが始まったきっかけは、当時磁気治療家であった創始者DDパーマーが使用人のハーヴェイ・リラードが17年前に背骨を痛めて以来難聴になったことを聞き、背骨を見たところ盛り上がっている部分に気づき、そこを動かしたことで難聴が治ったことにあります。
それ以来、背骨の問題(カイロプラクターはサブラクセーションと呼びます)が神経系に及ぼす影響について100年以上議論されてきました。当時は解剖学も生理学もまだ未熟だったころもあり、仮説が立てられていたメカニズムは現在では否定されているものもありますが、現在でもサブラクセーションが神経、脳機能に与える影響、及びその改善による多くの身体の不調に対しての良い影響に関しては現在も研究が継続されています。
近年の研究で言うと、アジャストの前後で体性感覚の伝達による脳の反応が変化していることを示唆する研究結果があります。(1)
つまり、運動した際の関節の動きや、筋肉の伸び縮み、皮膚の伸長といった感覚が、末梢神経を通り、中枢、つまり脳に伝達され、認識、または無意識下で処理され、その結果に応じて再び末梢神経を通して筋肉などに伝達されます。
今回のリサーチによると、アジャスト後はとりわけ前頭葉と呼ばれる部位においての変化が認められました。前頭葉は記憶、認知、思考、人格といった、人を人たらしめる脳の働きを担っている部位です。
現状ではこの変化がどのようなメカニズムで前頭葉の働きに影響を与えているかまでは判明していませんが、これまでも数多く観察されてきたアジャスト後の身体の不調の改善を、科学的な根拠に基づいて説明するための大きな一歩と言えます。
少しマニアックな話になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。