普段オフィスに初めていらした方にカイロプラクティックの説明をする時に聞くことがあります。
「歯がない人は認知症になり易いって聞いたことありますか?」
7〜8割の方からは
「そうなんですか?」「知らないです」
ってお返事頂きます。
昔から結構言われていることなんですが、聞いた事がない方が意外と多いんです。
今朝の高知新聞の朝刊「めでぃかる」より↓
愛知県在住の65歳以上の健康な高齢者4425人を歯の本数に応じて
①20本以上
②19本以下
③ほとんどないが義歯を使用
④ほとんどない
の4つのグループに分け4年間の追跡調査を行ったところ、④のグループが他の3つのグループと比べ認知症と診断を受けた割合がはるかに高かったとのこと。①のグループと比べると1.85倍高かったそうです。③の歯がほとんどないが義歯を使用しているグループは1.09倍に留まったようです。
記事内では書かれていないですが、メカニズムとして
咀嚼時に、顎の筋肉、関節、歯茎内のセンサー(機械受容器)が脳に信号を送ることが刺激となり、脳機能の維持・活性化に貢献してます。④のグループは咀嚼することがないため脳への刺激が低下することが原因と考えられます。義歯を使用することで咀嚼を続けられることは認知症になるリスクを大きく下げますが、それでも①のグループと比べ1.09倍高いことは軽んじてはいけません。若いうちから口腔ケアを心掛けましょう。
カイロプラクターとしては「背骨も重要です」
センサー(機械受容器)からの刺激は咀嚼に関わるものに限らず、身体全部の関節、筋肉、腱、靭帯に存在し、意識の有無関係無しに24時間365日脳に信号を送っています。そんな中今回咀嚼に関わるものがピックアップされましたが、まだまだ日の目を見ていないのが背骨の役割です。
1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞した神経心理学者であるロジャー・スペリーは「脳への刺激の90%は脊椎の動きから生じている」と言っています。
背骨の場合、歯とは違い、咀嚼する時だけでなく、身体を動かす度に脳へ信号を送ります。運動しているときはもちろん、夜寝ている間も機能しています。特に頸椎の動きは眼球の動きや、バランスをコントロールする前庭とも密接に関連することから脳機能にとって重要な役割を持ちます。
「歯を健康に保ちましょう」という意識は長年の歯科医師さんたちの運動が実って、一般の人達に浸透しています。が、「背骨を健康に保ちましょう」という意識を持っている人はほとんどいないのが現実です。
「口腔衛生」のことを英語で”Oral Hygiene”いい、これはgoogleで検索しても日本語訳が当然出てきます。一方”Spinal Hygiene”という言葉を検索しても日本語訳は出てきません。カイロプラクティックが法制化され多くのカイロプラクターが色んな分野で活躍しているアメリカでは”Spinal Hygiene”「背骨の衛生」という言葉を使い一般の人達の意識の向上を目指しています。本場アメリカでもまだまだですが、自分の及ぶ範囲からでも少しずつでも浸透するよう頑張らないといけないですね。
ただ実際のところ「背骨の衛生」って言われてもイメージし辛いと思います。「口腔衛生」に関しては小さいときから虫歯や、歯周病になってボロボロの状態の写真を何度も目にしているので容易に想像出来ますが、背骨に関しては難しいと思います。加えて、歯だったら、毎日鏡で確認出来るし、問題があれば比較的簡単に見つかりますが、背骨の場合は状態を視覚化するにはレントゲンを撮るしかなく、同じようにはいきません。でも表に出てないからといって軽んじていいわけではありません。難しいですが、出来るだけのことを続けるしかありません。
下の図は”Spinal Hygiene”の説明するときにカイロプラクティックのクリニックで使われるものです。
一番左「正常」 | 左から二番目「フェーズ1」 | 左から三番目「フェーズ2」 | 最後「フェーズ3」 |
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左から順に段階的に悪くなっているのがわかります。
こういった説明をすると、
「歳を取ったら皆そうなるんじゃないの? 」
って言われますが、はっきり言います。
「違います。」
もちろんどんな人でも20代の時と80代の時で同じというわけにはいきませんが、その変化の仕方は個々人の長年の生活の仕方に掛かっています。歯だったら普段の歯磨き、定期的なチェックが大事なように、背骨にとって、普段の姿勢や身体の使い方が重要になります。そして理想としては定期的に信頼できるカイロプラクターの所にチェックに来て頂き必要であればアジャストを受ける。機械だって正しく使って、ちゃんとメンテナンスしたら長く使えるように、人間の身体だって同じです。ただ違うのは人間の身体は機械のパーツのように壊れたら簡単に交換という訳にはいきません(簡単なのは入れ歯くらいのもんです)。大事に使いましょう。