側湾症とは、簡単に言うと、正面から見た時に背骨が曲がっている状態のことです。脳性麻痺や筋ジストロフィーの患者に見られることが多いですが、その他の多くの人にも見られ、ほとんどの原因は不明です。子どもの頃に見つかり、成長するにつれ悪化することがあります。
下の図で左の背骨が正常、右が側湾症です(結構曲がっていると思う人がいるかもしれませんが、これくらいはざらにいます)。
側湾症であっても、腰痛や首の痛みなど、必ずしも症状があるわけではないので、レントゲンを撮って初めて側湾症を持っていることに気付く人も数多くいます。
【朗報?】運動器検診で早期発見
平成28年度から姿勢や背骨の状態を含めた運動器のスクリーニング検査が小中高校で導入されているようです。(高知県の全部の学校で実際に導入されているのかまだ確認出来ていませんが、いくつかの学校で確認できました。)
このことにより成長著しい子ども達の背骨の状態もいち早くチェックすることができます。
詳しくはこちら→学校での運動器検診の手引き
この検査が行われるようになった経緯として、
最近の子ども達(この表現は好きではありませんが)は、身体を使って遊ぶ量が昔と比べて随分減ってます。そのことから運動器が十分に発達せず問題が生じている子ども達が増えているということがあります。
これに関しては以前書いた、ロコモ予備軍なこども達、ロコモ症候群とは(ロコモティブ・シンドローム)とは?をぜひご一読頂ければと思います。
検査で引っかかった時に
さて、この検査自体はとてもいいことではあるんですが、一つ問題があります。
それは、この検査で問題が見つかった時の選択肢の少なさです。
最初に書いた通り、多くの運動器の問題の原因は身体を動かす遊びを通して十分に発達して来なかった事があります。なので基本的には身体を使った遊びを通して改善を促すことができます。
ただそれでも改善しないケースであったり、側湾症があるケースは整形外科の受診を勧められるようですが、整形外科はあくまで外科。手術が専門です。よほどひどい側湾症のケースは手術が適用と診断される場合がありますが、多くは経過観察だったり、装具で側湾症の悪化を抑えようとするに留まります。装具自体はカーブの悪化を抑制する上で有効な面も確かにありますが、成長著しい時期の使用で筋、神経系を始めとする身体の発達が阻害される事もあります。
理学療法士による運動の指導も取り入れている病院もあるとは思いますが、日本ではまだ選択肢が限られているのが現状です。
そして、よほどひどい側湾症の場合手術を勧められることもあります。
脊椎固定術といい、曲がった背骨を金具でまっすぐにするんですが、
こんな感じです↓
左が手術前、右が手術後です。
結構ショッキングな画像ですが、実際に行われているものです。
これは側湾症でも確かにひどいケースではありますが、ここまで侵襲性の高い手術を選択する前にできることはたくさんあります。
そこで側湾症にカイロプラクティック
大人の方に「側湾症が治るの?」って聞かれることがあるんですが、
側湾症には背骨自体が奇形であるなど、構造的な問題がある場合と、構造的には問題ないけど背骨が曲がる機能的な問題の場合があります。
前者の構造的な問題がある場合、そして関節の摩耗が進んでいる場合には大きな改善は難しいかもしれませんが、後者であれば改善できることがあります。
機能的な問題の場合、靭帯、筋肉、神経コントロールの機能的な根本的な問題をカイロプラクティックや適切なトレーニングの指導を通して一定改善可能と考えています。
子どもの側湾症にカイロプラクティック
とはいえ成長しきって介入を始めるよりは、子どものうちからのケアをオススメします。
その理由は主に2つ
- 子ども達の方が組織が成長しきって固まっている大人のケースより改善の可能性が高い
- 早い段階でのケアが子ども達のより良い発達に繋がる
成長途上の子どもの場合でも必ずカーブが軽減されるというわけではありませんが、二次的な悪影響を緩和することは可能です。
左右非対称なことからおこる関節の可動不全や姿勢の悪化など、早いうちから対策を取るに越したことはないと思います。
何年、何十年もずっと側湾症を放置してきた大人と、成長途中にある子どもの背骨では柔軟性、適応スピードが断然異なります。側湾症をそのままの状態で放っておくと、それに合わせて筋肉、靭帯、神経コントロールが発達します。そういったことで、問題がどんどん重なって来る事で、大人になってからでは時間も掛かるし、限界も見えます。
子どもの時にアラインメントが改善すると身体はより機能的になり、普段の生活や遊び、スポーツをするにしても身体の負担が減ることで、長期的に見るとパフォーマンスの向上が期待できます。
実際に子どもの側湾症がカイロプラクティックケアで大きく改善したとするリサーチもあります。(1)
まだまだ小規模なリサーチしか行われていないので、信頼性を高める為にも今後もっと大規模なものが行われることを期待します。
引用: