妊娠中のお母様方、身体動かしてますか!?
元々運動嫌いの方、前はしていたけど今はしてないという方!少し長くなりますが、ご一読頂いてぜひ今日から少しでも身体を動かしてもらえたらと思います。
「妊娠中の運動は流産や早産につながる」といった考えが以前はあり、運動を控えていた人もいたかもしれませんが、最近では多くの研究によって妊娠中の運動はお母さんにも赤ちゃんにもたくさんの嬉しい効果を及ぼすことがわかっています。
研究によると
アメリカ、フィラデルフィアにあるトーマス・ジェファーソン大学のバーゲッラ教授は今までに行われた9つのランダム化比較試験(医学において最も信頼性が高いとされる研究法)の結果をまとめ分析しました。(1)
被験者は健康な2059人の女性。エクササイズを行うグループ(運動グループ)と行わないグループ(コントロールグループ)に分けられています。運動グループでは35〜90分の運動を週3、4日。10週間以上続けました。
分析の結果、運動グループもコントロールグループも早産(37週前)をおこした割合に有意な差はみられませんでした。
しかし、
違いが見られたのは経膣出産の割合。コントロールグループでは67.5%が経膣出産であったのに対し、運動グループでは73.6%でした。
また、妊娠糖尿病や高血圧の発生率も運動グループはコントロールグループと比較して低いことが認められました。
つまり、運動グループの方がより健康で自然に近い形で出産に臨む事ができたということになります。アメリカ産科婦人科学会は「妊婦は週150分の適度な強度の有酸素運動を行うべきである」(2)と現行のガイドラインで述べていますが、今回の研究結果としてはそのガイドラインを支持しています。
加えて、適度な運動はお母さんの睡眠の質、筋力の向上や、肥満の抑制、腰痛や便秘の解消にも繋がります。
オススメ4つのエクササイズ
妊娠中、運動しても大丈夫、むしろ推奨されているということに関しては理解していただいたと思いますが、実際にどのようなエクササイズを行えば良いのかというお話です。
具体的なエクササイズの内容について触れる前に、まずは一般的な注意点から。これら以外でも運動の仕方に関して基本的には常識の範囲内で考えて判断して下さい。
- 13週目を過ぎた辺りからは、うつ伏せの運動はしない。
- 運動前、中、後でしっかり水分補給をする。
- 気温、湿度の高過ぎる環境での運動はしない。
- ウェイトリフティングなど、いきむタイプのエクササイズは避ける。
- 食事から1時間は時間を空ける。
- 身体の異変(胸やお腹など身体の痛み、膣出血等)を感じたら運動を中止する。
- 疲労困憊するまで運動しない。適度な運動強度に留める(運動中会話ができる程度)。
これらを踏まえた上で妊娠中にオススメの5つのエクササイズを紹介します。
ウォーキング
今まであまり運動してこなかった人は、まずはウォーキングから始めてみてはいかがでしょう。近所をプラッと散歩してもいいし、気分転換に少し離れたところに出掛けてみてもいいですね。心拍数が上がり少し汗ばむ程度の早歩きがベターです。ウォーキングは出産前まで行えますが、胎児の成長が進み、お腹が大きくなると、重心の変化も起こります。転倒の危険性が低い、歩き易いところを選びましょう。
スイミング
スイミングは妊娠中の運動としては最も適しているものの1つです(個人的には一番オススメ)。水中での動きは関節の負荷は少なく、転倒の危険性も少ない(ただしプール外の床は滑り易いので注意が必要)。全身運動で程よく心拍数も上げる。泳ぐだけでなく、水中での歩行やエアロビもいいですね。
フィットネスバイク
通常の自転車の場合、お腹が大きくなり重心の変化が大きくなるにつれ転倒のリスクが増えますが、室内で使えるフィットネスバイクは転倒の心配はいりません。関節の負担も少なく、程よく心肺機能に負荷を掛ける事ができます。
ヨガ
ヨガはバランス良く筋力を強化し、柔軟性の向上にも効果があります。呼吸を整えることは精神を落ち着かせ安定した妊娠ライフを送れます。
ただ注意点として過度なストレッチは行わない(妊娠中、リラクシンと呼ばれるホルモンで靭帯が緩み易いため)ことと、転倒防止のためバランスをとるのが難しいものは避けましょう。
これら4つのエクササイズ以外でも、転倒などの危険性が少なく、適度に負荷が掛かり、楽しめるスポーツを趣味でお持ちの方は無理しない程度に続けていただければと思います。どのスポーツなら大丈夫か心配な方は産婦人科医を始め信頼できるヘルスケア従事者にご相談下さい。
また、妊娠中の運動に特別注意が必要な人もいます。
- 特定の循環器疾患
- 頸管不全
- 26週以降の前置胎盤
- 子癇前症
- 重度の貧血
その他、過去に流産や早産の経験がある方は注意が必要です。思い当たる方、不安に感じる方はかかりつけの産婦人科医にご相談頂いた上で、できる範囲内で身体を動かすことをお奨めします。
赤ちゃんの為にも
今回「妊婦さんにとって運動がどうして大事か」ということについての情報が多かったですが、妊娠中の運動は赤ちゃんの脳の発達にとってもとても重要です。そう考えると普段運動するのが嫌いな人もモチベーションに繋がるではないでしょうか。
以上、妊婦さんへの運動ガイドラインでした。
参照:
1) http://www.ajog.org/article/S0002-9378(16)30344-1/abstract
2)http://www.acog.org/Patients/FAQs/Exercise-During-Pregnancy
参考:
http://www.medicalnewstoday.com/articles/290217.php?trendmd-shared=0